「一度」だけじゃない「once」
「once」の意味は「一度」と、中学校の時に習ったことを覚えている人も多いのではないでしょうか。例えば「once more」は「もう一度」、ですね。
でも「once」にはその他にもいろいろな意味・使い方があります。副詞になったり、接続詞になったり、名詞になったり、形容詞になったり…。また、「once」を使った慣用表現も多く、覚えておくと便利な言葉です。
今回はそんな使い勝手のいい「once」を取り上げてみたいと思います。
では始めましょう。どうぞ最後までお読みくださいね。
副詞として使う「once」
「once」を副詞として使う場合は、主として、①一度、一回だけ、②いったん、ひとたび、③かつては、以前は、④かつて、(過去の)ある時、昔、といった4つの意味があります。
ではそれぞれ説明していきましょう。
①一度、一回、一度だけ、一回だけ
「一度」「一回」「一度だけ」「一回だけ」という意味で使う「once」は、文の最後に置かれることが多いです。
I have been to Vietnam once.
(私は一度、ベトナムに行ったことがあります。)
My mother sends me a parcel once a week.
(母は週に一回、荷物を私によこします。)
②いったん、ひとたび
「いったん」「ひとたび」という意味の副詞の「once」は、「if」節や「when」節の中で使われます。後で解説する「接続詞として使うonce」とほぼ同じ意味を表す使い方です。
If once I lose sight of my dog, it’s hard to figure out where he is.
(私の犬は、ひとたび見失うと探し出すのが大変です。)
③かつては、以前は
現在の状態と対比して「かつては〜だった」「以前は〜だった」という意味の「once」は、「be動詞」「have」「like」「love」「want」といった状態動詞と共に使われ、通常、文中または文の最後に置かれます。
This video was once popular but now nobody watches it.
(かつてはこのビデオは人気がありましたが、今は誰も見ません。)
He is not as rich as he once was.
(彼は以前のような金持ちではありません。)
④かつて、(過去の)ある時、昔
こちらは③と違い、ある過去の行為を行った時期について、単純に「かつて」「(過去の)ある時」「昔」といった意味を表す「once」です。
③は状態動詞でしたが、こちらは動作動詞(状態動詞以外の、行動や動作を表す多くの動詞)と共に用いられます。通常、文中や文頭で使われます。
George and I once went around the world.
(ジョージと私は、かつて世界一周をしたことがあります。)
接続詞として使う「once」
副詞の「once」と並んでしっかり押さえておきたいのが接続詞の「once」です。
「once」を接続詞として使うと、①いったん〜すると、②〜するとすぐに、といった意味になります。
接続詞ですので、「once」の後には「主語+動詞」を含む文が続きます。
なお、接続詞「once」の後の文中では、その内容がもし未来のことを表していても、「will」などを使った未来形にはしないで現在形を用います。これは「when」「until」「after」「before」などの接続詞の場合と同じです。
①いったん〜すると
Don’t worry! Once you learn how to speak English, you never forget.
心配いりませんよ!一度英語をマスターしたら、決して忘れませんよ。
Once you’ve signed, you should stick to it.
(一度サインしたら、あなたはそれを固守すべきです。)
②〜するとすぐに
Would you call him once you get home?
(帰宅したらすぐに彼に電話して頂けますか?)
Once he saw his mother coming back through the window, he rushed out of the house.
(母親が帰ってきているのを窓から見たとたん、彼は家を飛び出していった。)
ちなみに、「〜するとすぐに」という意味で使われる「once」の場合、やはり「〜するとすぐに」という意味がある以下のフレーズなどに置き換えることが可能です。
・as soon as
・the minute
この意味での「once」はややかための表現なので、会話ではこれらの方が使われることが多いです。
Please come here as soon as you finish the work.
(仕事が終わったらすぐにここに来てください。)
「as soon as」の後に続く文は、やはり未来の出来事でも現在形または現在完了形で表します。「as soon as you will finish the work」とはしないようにしましょう。
I went to bed the minute I came home.
(私は帰宅するとすぐに寝ました。)
名詞として使う「once」
名詞で使われる時の「once」は「一回」「一度」という意味ですが、「at once」(すぐに、同時に)、「for once」((珍しいことに)一度だけ)など熟語として使われることが多いです。
Just do this at once.
すぐこれをやってください。
I agreed with my father for once.
(私は一度だけ父に賛成した。)
形容詞として使う「once」
「once」が形容詞として使われる時は「かつての」「以前の」といった意味になり、名詞を修飾します。
He was my once enemy.
(彼は私のかつての敵だった。)
「once」を用いた慣用的な表現
最後に「once」を使った慣用的な表現をいくつか紹介しましょう。
once upon a time:昔々、あるとき
「once upon a time」は「昔々」「あるとき」といった意味です。昔話の始まりの決まり文句でもあります。
Once upon a time, there were a prince and a princess.
(昔々、王子様と王女様がいました。)
once too often
「once too often」は「またもや」「図に乗って」などの意味です。そこでやめておけばいいのに、余計な1回のために悪い結果に至ったことを示す時などに使われます。
He lied once too often and was fired.
(彼はまたもや嘘をついて、クビになりました。)
once an A, always an A
「once an A, always an A」は直訳すると「いったんAになるといつもA」といった感じですが、これは、「一度身についた習性は直らない」「一度あることを経験すると、やめた後もその癖が抜けない 」といった意味です。
Once a gambler, always a gambler.
(一度ギャンブルの味をしめると、そこからは抜け出せない。)
まとめ
いかがでしたか?
今回は、「once」についてまとめてみました。いろいろな意味や使い方があることがおわかりいただけたかと思います。使いこなせるようになれば、コミュニケーションの幅がグンと広がりますよ。
次回もお楽しみに!
byあいんちゅ
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ライターあいんちゅのプロフィール
語学、海外トラベル系の雑誌やムックの企画と編集そして執筆を長年しています。元大学教員。書くことが好きで常に何か考えて、書いていないと落ち着かない性分です。還暦過ぎてからの留学を実現するために日々英語勉強中。
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